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元Jリーガーの起業家「中村亮」さんが目指す、子供たちの新しいサッカーキャリアと世界進出。

サッカーの名門「滝川第二高校」に一般入試からレギュラーを獲得し、全国ベスト4。大学選抜としてユニバーシアード、FC東京でJリーガーになるも2年で現役引退。プロになるべくサッカーに全てを捧げた中村さんの早すぎる引退と、セカンドキャリアで見つけたサッカーで繋がる新たなチャレンジをお伺いしました。

 

<PROFILE>
中村 亮

3歳でサッカーを始める。滝川第二高校在籍時には第77回選手権でベスト4に進出。

2000年に鹿屋体育大学に進学し、2003年には大学選抜としてユニバーシアードに参加するなど、大学サッカー界屈指のサイドバックとして注目を集め、 2004年、Jリーグ・FC東京に加入。

古傷の右膝痛や、右膝をかばったことによって他の箇所を負傷するなど力を見せる機会を欠いた。金沢浄らとのポジション争いに絡めず、2005年限りで戦力外となる。クラブは移籍先を探す意向を示したが中村自身が「1年後も怪我と戦ってるイメージしか湧かなかった」ことから現役を引退。

現役時代怪我に悩まされた経験からトレーニングメニューに気を配っており、フィットネスクラブでトレーナーを務めた。 その後モデルなどの芸能活動を経て、渡米。留学コンサルティングなどを手がける株式会社WithYouを創業、代表取締役に就いた。兵庫県神戸市に本社、東京都渋谷区に支社を持ち、毎年約100人のサッカー留学生を米国の大学へ送り込んでいる。

 

 

 

色んな可能性を見据えるアメリカカレッジ留学、サッカーだから獲れる日本人の優位性。

 

-  今、年間で100人ぐらいの子たちをサッカーでアメリカに留学させてるそうですね

 

中村亮(以下、中)  そうですね、インターハイや選手権、ユースなどに入っているようなサッカーが上手い高校生が、高校卒業後のステップとして色々な選択肢がある中で、カレッジスポーツで有名なアメリカの大学への入学から卒業までの様々なプロセスや助成金など、トータルでサポートをさせていただいています。

 

-  将来的にはプロを目指したサッカー留学ということでしょうか?

 

  明確にプロ志望の子たちは、5割ぐらいですかね。殆どの子たちが、幼い頃からサッカーを続けてきて、ある程度の成績を持っているんですが、厳しい世界なので勿論全員がプロになれるわけではない。プロへの道が閉ざされた時に、アメリカの有名大学を経験し、卒業しているということが新しいキャリアにつながる。そこまでを含めてのサッカー留学を考えています。

 

-  いわゆるスポーツ推薦で大学へ進むのを、海外で目指すということですね?

 

  そうですね。殆どの子たちが各年代でそれ相応の活躍をしてきているので、親御さんもサッカーに相応の時間やお金を使ってきてるんですね。高校卒業してプロになれなかった場合に、スポーツ推薦でも2流大学に行くというのは、親御さん的にも納得できないことが多いんですよね。

そうなった時に、大学は行かずに、プロを目指してヨーロッパや南米に行くという選択肢もあるんですが、多くの子たちが日の目を浴びずに消えていきます。でも、海外の大学にスポーツ推薦で挑戦できるとなると、最悪、プロになれなかった場合でも、小さい頃からサッカーに使ってきた時間や努力を使って、サッカー以外のキャリアも作れます。勿論、語学の面も含めて、日本の大学よりも大変かもしれませんが、手に入れれるものもその分大きなものとなると思います。

-  確かに語学面にも準備が必要になってきますね

 

  アメリカの入学時期は9月になるんですが、日本の高校を3月に卒業してからの半年間を英語準備に費やすことが出来ます。個人によって能力の差も出てきますが、基本的にサッカーが上手い子って、努力が出来る子が多いので、サッカーを上手くなる為に英語を頑張るとなると成長はすごい速いですね(笑)。

 

-  何故アメリカなんでしょうか?一般的にはサッカーと言えば、ヨーロッパや南米のイメージが強いと思いますが。

 

  確かにアメリカにサッカーのイメージはないですよね。やはり、現地でもアメフト、野球、バスケ辺りが人気スポーツになってきます。

でも、だからこそ、日本人に突破できるチャンスがあるんですよね。

 

まず、アメリカはカレッジスポーツと言うほど、大学の部活が世界的に有名なんですね。その分、スポーツ推薦の枠も人気で、とても狭い入口になるんです。アメリカでの人気スポーツで、推薦で入れるような世界クラスの子たちは、殆どがアメリカ人になってきます。そうなると、学校が用意しているスカラーシップ(授業料だったり寮費を免除してもらえる予算)も、殆どがアメリカ人の子が対象になってきます。

 

近年、アメリカでもサッカーの人気は上がってきてるんですけど、まだまだトップじゃない。なので、サッカーに関してはアメリカ国外からの留学生が入れる可能性がかなり高くなるんです。勿論、世界の子たちとの競争とはなりますが、日本人の子たちでも、価値を可視化させられるんです。これがバスケとなると、日本代表クラスぐらいに上手くても、一流大学に推薦で入るのはかなり厳しいと思います。

 

-  確かに子供たちが、日本人であることと、サッカーをやってきたことを武器に使えますね。

 

   そうなんです。あとは大学卒業後にプロになれなかった場合、多くの子たちが日本やアメリカでの就職活動となるかと思います。その場合、他の国の大学よりも、アメリカの大学を卒業していた方が優位になる確率が高いのかなと思います。日本で、海外の一流大学がどこかを聞くと、その多くがアメリカの大学になるかと思います。そこをサッカーでフル特待を目指せるってスゴいことだと思うんですよね。

-  留学卒業後にプロに行く子もいるんでしょうか?

 

   毎年4〜5名ぐらいはいます。結局プロになりたいっていう思いが強い子は、プロを目指しますからね。結果、ヨーロッパや日本のプロリーグに入れれば良いですが、最近はアジアのプロリーグでデビューして、ステップアップをしていく子もいます。今後も海外でプロを目指す子は増えてくると思っていまして、弊社でも、そのリーグやチームへの入団サポートを増やしていっているところです。

 

-  卒業後までサポートされているんですね。

 

   トータルサポートとして、卒業後までアドバイスを行っています。もちろん、プロ挑戦・大学編入・就職活動において結果を出すのは本人ですが、選手の可能性を広げる支援を増やしています。入学前からゴールを相談して、大学選び、ビザや諸々の手続きは勿論、現地でのサッカー環境もサポートしています。

入学前はプロを目指していた子で、結果、就職をすることを選ぶ子もいますが、卒業時には英語でのコミュニケーションが可能な体育会系人材という戦える武器が身につくので、就職率はかなり良いですね。

 

 

これからの時代に必要な「個性」と「世界での日本人」を、社会に出る前に海外で作る

 

-  大学だけでなく、高校やもっと若い頃からアメリカにサッカー留学は難しいんでしょうか?

 

  いえ、今はどんどん若い頃から行かせようとしている親御さんが増えてきているので、高校の頃からアメリカに行きたい子たちはIMGアカデミーなどへのスポーツ留学などもおすすめしています。テニスプレイヤーでIMG出身で活躍されている方など、日本でも認知度が上がってきていると思います。

 

-  小さい頃からアスリートとして海外を意識させたいってことですかね?

 

  そういう方もいらっしゃるかと思いますが、昨今、親御さんの教育方針を聞いていると、「個性をひとつ付け加えてあげたい」って思っていらっしゃる方が多いと実感としています。

時代が大きく変わってきているので、これまでの右ならえ右的な日本の教育方針が、もう今の社会ではフィットできなくなっているのではないかなと思っています。

社会に出る前に、その子それぞれの個性や長所を武器として作る必要があって、それを海外に出ることによって得られる可能性を感じてる親御さんが増えてきているんだろうなと思いますね。

 

-  そう考えると、アメリカ以外の国への可能性もありますよね

 

  可能性はいくらでもあるかなと思っています。

弊社ですと、アメリカ留学の準備で、以前からESLをフィリピンのセブ島でも扱っていたのですが、どうせならセブ島でもサッカーが出来る環境を作りたいなと準備してきました。

フィリピンもそうですが、東南アジアは人口もどんどん増えてきているので、将来の可能性は計り知れないですよね。東南アジア諸国だけが参加する「SEA GAMES」の人気は爆発的に凄いですしね。

 

-  フィリピンもサッカー人気は本当に凄いですよね

 

いや、本当に凄いですよ。セブ島のサッカー環境を作っていたら、現地の飲食店オーナーさんがプロチームを作るから相談に乗って欲しいっていう話が出てきたんですよね(笑)。その後、びっくりするぐらいのスピードで話が進んで、コロナ禍にスタジアムが出来て、今、フィリピンリーグで1位のチームになっちゃたんですよ(笑)。

そこでのプロ契約選手も生まれましたし、今後、セブで生活しながらアメリカ留学準備という子も出てくるかもしれないなって思ったりもしています。

 

-  スゴいですね!これまでの一般的なサッカー選手のキャリアでは想像つかないですね

 

  そうなんですよね、自分が想像していたこととは違うことも生まれてきているので、実際かなり面白いです。

あと、今後の計画で、出来る限り費用を抑えたい子たちを、現地のサッカークリニックの先生になってもらって、クリニックの参加費で学生の語学費用を捻出できるようなシステムを作るのも面白いなと思っています。スキルのエクスチェンジというか。日本の大学リーグの子たちの短期留学としても使えるかもしれないかなとか色々アイディアは生まれてきていますね。

 

-  アメリカ留学とはまた違う面白みが出てきそうですね

 

  現段階では、やっぱり日本人であることや世界での位置付けを考えるとアメリカ留学が主軸だとは思っています。なので、セブ島はアメリカ留学の準備や、留学後にプロを選ぶ子たちの最初のステップとしての位置付けにはなりますね。ただ、東南アジアの位置付けは近い将来に大きく変わってくるので、準備はしていきたいなと思っています。

-  サッカーだけで考えるとアジアのプロチームと契約する選手も増えてきていますよね

 

  そうですね。物価も上がってきていますし、サッカーのレベルも上がってきていると思います。

学生だけでなく、Jリーガーのオフシーズンの場所として、セブ島を使うっていうのも計画していますよ。プロのオフシーズンは温暖な場所で過ごすことが多いのですが、トレーニング以外の時間って案外暇だったりするんです。セブ島であればその時間を英語を習うとか、現地のプロへのレッスンなどに有効利用できると思っています。

 

-  どんどん広がっていきますね!

 

  行く行くはセブ島でアジアの諸国のチームでトーナメントを開催するとか、サッカーを文脈に色んな立場の人たちが交流をしていけるようになってくると面白いなって思っています。留学後にプロになれなかった子供たちの働く場所を増やせることになるますしね。

もっと広く言うと日本のスポーツ業界の裾野が広がると思うので、スポーツに携わってきた人たちが活躍できる場所が世界に広げれたら面白いなって思っています。

 

 

自身も辿ったアスリートのセカンドキャリア


-  アスリートのセカンドキャリアは大変だと感じますか?

 

  そうですね。私みたいに早期引退した人間からすると、30歳までJ1やトップレベルでやってこれるって本当に凄いことで、一握りの超人の集まりなんですね。でも、30歳を超えてからの新社会人となると、一般的な目線で見たときに、社会的には厳しいと判断される人の方が多いと思います。

最高のパフォーマンスを出すために、あらゆる努力を継続できる力がアスリートにはあると思うんですけど、今の社会では受け皿が少ないとは感じています。

人気スポーツのサッカーでさえ、そういう状況なので、セカンドキャリアだけを考えると、競技によってはもっと大変な道が待っていると思います。

 

-  元アスリートの強みって何だと思われますか?

 

  どのスポーツでも、ある程度のところまで行けた人って、個人的には頭が良い人だと思っています。元アスリートの人が引退をして、その瞬間に社会人一年目になるので、いきなり社会に放り出されるのですが、スポーツ選手がスポーツしかして来なかったから馬鹿なわけじゃないと思っていて。

サッカーで言うと瞬時瞬間で選択が迫られる連続の競技なので、すごく頭の回転が必要になってきます。味方だけじゃなく、相手や審判とのコミュニケーションも大事。その中の1番エリート集団が日本代表や、トッププロって話なので、彼らは絶対頭良いですよ。

その評価軸が一般社会に用意されていないので、彼らの能力を引き出す時間や場所をつくってあげる社会が出来てくると良いなと思いますね。

 

-  アスリートで得たキャリアを、一般社会で活かせれると思いますか?

 

  自分もプロ引退後に凄く悩んで来ましたし、色んなことにトライしてきたので、その人によってカスタマイズが必要だと思いますが、持っているものを上手く表現できないだけで、社会と上手く繋げてあげることさえ出来れば彼らはどんどん活躍していくと思います。

とはいえ、まずは引退して全てが違うところからスタートなので、まずはメンタリティが大事だと思いますね。でも、それこそ、メンタリティやマインドセットはアスリートが一番経験してきて、得意なところだと思いますし。

 

-  ご自身の引退後を振り返るとどうでしょうか?

 

  めちゃくちゃしんどかったですよ、最初は(笑)。

予定では30歳ぐらいまではサッカーで食べていくつもりだったんですが、引退時期も早かったので、最初は本当に何もなくて。

新しく何かを目指そうってなった時に、一緒にやってきた仲間が海外で活躍したりW杯に出ていたりっていうニュースを見るじゃないですか。現実の社会でも、違う道を進んできた同世代の方々が成功をしているのを見たりすると焦ってしまうんですよね。

そういう環境を変えたかったのも、アメリカに渡った一つの要因ではありますね。

 

-  より上のレベルに行けば行くほど、比べてしまうものも大きくなりそうですね。

 

  登り切った人、達成しきった人は、それには当てはまらないと思いますが、もの凄く限られてくると思いますね。上に行けば行くほど、目標もどんどん上がっていきますし、横にいる仲間のいる場所や活躍も眩しくなるので、悔しさや辛さも増えるかもしれません。
自分も怪我を理由に引退しているので、怪我を克服すればもっと活躍できたかもって思いはどこかにありますし、実際、怪我から復活して活躍している選手を見ると、正直、自分が逃げてしまったなぁと思うこともありますね。

 

-  それでもサッカーとの関わりを選ばれているのは?

 

  プロ生活は短かったかもしれませんが、人生で考えると自分にとってサッカーは大きな武器なんですよね。

20代後半の頃は、サッカーに絡むことが、サッカーにしがみついている感じがして、どこか嫌で悩んだ時期もありましたけどね。

引退して色々やりましたけど、結局、自分の武器を最大限使うしかないというか。

僕はアメリカに渡って、サッカーを名刺に道を切り開くことが出来て、若い子たちをサポートすることで、仕事としてや自分の存在意義に喜びが感じられています。

サッカー界に恩返しにも繋がるので、昔お世話になった恩師とか、Jリーグの関係者に『お前がんばってるな』って言ってもらえることが、精神的に健康的で嬉しいですね。

 

 

今後はサッカーだけでなく、スポーツを武器に世界で活躍できる子のサポートへ

 

-  中村さんのビジネススキームを考えると、サッカー以外の競技の可能性もありそうですが

 

  実際、他の競技での問合せも増えてきていますね。

今起きているアスリートのセカンドキャリア問題もですが、その現実を見据えて、スポーツを選ばない子たちも出てくるのはもっと問題だと思っていまして。そういう子たちに選択肢が増やしてあげることが出来たらなって思っています。

 

-  アメリカ留学、カレッジスポーツで考えるとかなりの幅が出てきますよね

 

  本当にそうなんですよ。日本ではプロスポーツになっていない競技でも、全然可能性がありますし、子供たちも純粋にアスリートのキャリアを追い求めながら、一般社会で勝負できるキャリアも手に入る選択肢だと思っています。

 

-  他の元アスリートの方組むことも考えられているんですか?

 

  実際問題、サッカー以外となると自分の専門分野以外となってしまうので、その競技の元アスリートの方だったり、アメリカでの経験がある人と組んで、やり始めようとしている段階に来ています。どんどん広げていきたいと思っていますね。

 

-  セブ島のように、新しいアイディアや環境が生まれてくるかもしれないですね

 

  本当に面白いですよね。自分の想像以上のことが広がってきているので、ビジネスって面白いなってよく思います。是非、色んな競技のアスリートの人たちとアイディア出していけたら嬉しいですね。これからの日本は本当に世界に出ていく必要があると思うので、自分も楽しみながら頑張っていきたいと思っています。

 

-  スポーツをベースにしても、色んな関わり方で世界に出れるんだなって勉強になりました。

 

  自分はサッカー専門でしたし、ここまでサッカーを一生懸命頑張ってきた体育会系の人材の定規を作るためで頑張ってきたんですが、これまでアメリカでやってきたことで想像以上の経験を得れましたし、サッカーを通じてグローバルなパイプも生まれてきました。

今後はサッカー以外の競技でも、その景色を見られるかもしれないって考えると最高ですよね。



 

 

<中村亮> プロフィール

 

 

中村亮 (実業家)

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PROFILE

3歳でサッカーを始める。滝川第二高校在籍時には第77回選手権でベスト4に進出。

2000年に鹿屋体育大学に進学し、2003年には大学選抜としてユニバーシアードに参加するなど、大学サッカー界屈指のサイドバックとして注目を集め、 2004年、Jリーグ・FC東京に加入。

古傷の右膝痛や、右膝をかばったことによって他の箇所を負傷するなど力を見せる機会を欠いた。金沢浄らとのポジション争いに絡めず、2005年限りで戦力外となる。クラブは移籍先を探す意向を示したが中村自身が「1年後も怪我と戦ってるイメージしか湧かなかった」ことから現役を引退。

現役時代怪我に悩まされた経験からトレーニングメニューに気を配っており、フィットネスクラブでトレーナーを務めた。 その後モデルなどの芸能活動を経て、渡米。留学コンサルティングなどを手がける株式会社WithYouを創業、代表取締役に就いた。兵庫県神戸市に本社、東京都渋谷区に支社を持ち、毎年約100人のサッカー留学生を米国の大学へ送り込んでいる。

 
株式会社WithYou:https://withyou-usa.com/
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